中学のころ、従兄が作ってくれたオリジナルベストMD。だから歌詞もわからず、だけどずっと聴いていた。
そこにあるなんとも蠱惑的な、ギラギラした生命力に惹きつけられ、、、当時はこんな言葉知らなかっただろうけど。
それが、THE YELLOW MONKEYとの出会いだった。
そして、出会ってすぐに、イエローモンキーは活動休止した。
高校になってもイエローモンキーを追いかけ続けた。中古CD屋を回ってアルバムを揃え、古本屋でインタビュー記事を探した。哀しいかなもう過去のバンドだから、そういう追い方をするしかなかった。だけど、ビートルズやツェッペリンだってそうやって知ったのだ。新曲は出ないしライブもやらないけど、いやだからこそ何度も何度も何度も、イエローモンキーの曲を聴き、口遊んだ。
そんな中、ボーカル吉井和哉のソロ活動を皮切りに、メンバーがそれぞれの道を歩み始める。当然素晴らしい作品がリリースされ、それも聴き込むも一抹の不安。それは、素晴らしいと同時に、イエローモンキーの楽曲とは全く違っていた。素晴らしいからこそ、不安だった。
そして、活動休止したまま、解散の報。未だに、そのニュースを見た後、消化できずに数時間ぼおっとしていたのを覚えている。
作家の樋口毅弘さんが、「青春の終わりとは好きなバンドが解散すること」と書いていた。
それが本当だとすれば、おれにとっては高校時代、好きな女の子のことをずっと考えていたそのど真ん中に、青春が早くも幕を閉じたことになる。
結局、おれはイエローモンキーのライヴには一度も足を運べなかった。
イエローモンキーは、過去の偉大なロックバンドと同じように、CDを聴きながら「ああ、産まれるのが遅すぎたなあ」と遠い目をする、そんなバンドだった。
しかし、イエローモンキーは、帰ってきた。ジャガーが時を越えて戻ってきたように。
再結成全国ツアー、全日程の折り返しに当たるさいたまスーパーアリーナ。
解散前は存在しなかった会場。15年という空白。
でも、15年を経ても、4人はどこまでもイエローモンキーだった。
そしておれも、イエローモンキーファンだった。
『空の青と本当の気持ち』『カナリヤ』『花吹雪』、、、特におれが大好きなナンバー。いやもちろん、どれもこれも名曲なんですけど。思い入れも含めて、本当に聴けて嬉しかった。
初期の楽曲もやってくれた。どの曲もこの日のために予習したわけでも覚えてるわけでもなく、だけど細かいアレンジの変更・アウトロまで全部わかる。
知っている、とかじゃないんだろうな。細胞に染み込んでいる。狂ったように聴き込んできた15年間。それはもう価値観のレベルでの影響。そのメロディーが、歌詞が、自分に刻み込まれている。
イエローモンキーが、おれのカッコいいの基準。イエローモンキーが、おれのロックの基準なのだ。
『バラ色の日々』『WELCOME TO MY DOGHOUSE』のMCでは、事実上の解散ライヴとなった東京ドームでのMCを引き合いに出してくれた。「スーパーな野良犬」、なんてカッコいいんだ。
『SUCK OF LIFE』での恒例のメンバー紹介。アニーのドラムソロが解散前にはやってなかったであろうシャッフルスタイルだった。解散中のインタビューでジャズドラムも叩いている、と読んだ記憶があるから、そのナイフを抜いたんじゃないかな。ただの再結成ではない、パワーアップを表現していたんだと思う。
そして『JAM』。4人が解散に際して最後に演奏した曲。それを4人は、再結成ライヴのラストナンバーに選んだ。「イエローモンキーは続いていく」、どんな言葉より、このセットリストとあの最高の演奏が雄弁にそのことを教えてくれた。
イエローモンキー再結成。
胸がいっぱいでまだまだ言葉にできない。だから最後に一言。
おかえりなさい。
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